
エコマップ(Eco-map)とは
エコマップ(Eco-map)は、1975年に社会福祉学者アネット・マクルーハンによって考案された、個人や家族を取り巻く人間関係や社会資源を図式化するツールです。
ソーシャルワークや福祉の現場では、クライエントの生活環境や支援ネットワークを理解するために広く活用されています。
エコマップの目的
エコマップを作成する目的は以下の通りです。
- クライエントを取り巻く 支援資源の可視化
- 人間関係の強弱や質的側面を整理する
- 家族や本人の 孤立状況や負担の偏りを発見
- 新たに必要な資源やネットワークを検討する
- 支援者間での 共通理解を促進
エコマップの書き方
1. 中心にクライエントを描く
円や四角でクライエント(本人や世帯)を中心に配置します。
2. 周囲に関係資源を置く
家族、親戚、友人、学校、職場、医療機関、福祉サービス、地域、趣味や宗教などを周囲に描きます。
3. 関係性を線で表す
- 太線:強い支援的関係
- 細線:通常の関係
- 点線:希薄な関係
- ジグザグ線:対立・ストレスを伴う関係
4. 矢印で支援の流れを示す
誰が誰に支援しているのかを矢印で示すことで、支援の方向性が分かりやすくなります。
福祉現場でのエコマップ活用例
児童福祉
虐待リスクがある家庭で、支援が不足している部分を明らかにする。
高齢者福祉
介護する家族の負担状況や、地域資源とのつながりを確認する。
障害福祉
障害のある人が地域生活を送る際に、利用できる社会資源を整理する。
精神保健福祉
本人が孤立していないかを確認し、回復を支える関係づくりを検討する。
エコマップの利点と注意点
利点
- 支援状況を一目で把握できる
- クライエントと一緒に作成することで気づきを促す
- チーム支援における情報共有に役立つ
注意点
- クライエントの主観を尊重しながら作成する必要がある
- 人間関係は常に変化するため、定期的な見直しが必要
- 支援者の一方的な評価に偏らないよう注意する
まとめ
エコマップは、福祉やソーシャルワークの現場で有効なアセスメントツールです。
人間関係や資源のつながりを「見える化」することで、支援の不足や強みを発見し、より効果的な支援計画を立てることができます。

