
はじめに
個別支援記録は、利用者一人ひとりの支援内容や日々の様子を正確に残す大切な記録です。
支援の振り返りやチーム内での情報共有、次の支援計画作成にも活用されます。
ここでは、基本の書き方から具体例までをわかりやすく解説します。
個別支援記録とは
利用者ごとの支援の「経過記録」
個別支援記録とは、利用者の行動・発言・体調・支援内容・結果などを時系列で記録するものです。
「支援の証拠」であると同時に、「次の支援へのヒント」にもなります。
法的・実務的な目的
- 支援の継続性・一貫性を保つ
- 職員間の情報共有をスムーズにする
- 行政監査や第三者評価に対応する
- 事故・トラブル発生時の根拠資料となる
個別支援記録の基本構成
一般的な書式は次のようになります。
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 日時 | 2025年10月24日(金) 10:00〜11:00 |
| 支援場面 | 作業支援(軽作業) |
| 支援内容 | 作業の準備・指示の理解を確認しながら支援 |
| 利用者の様子 | 指示を理解し、自分から作業を始める姿が見られた |
| 支援者の対応 | 声かけやサポートを最小限にし、自立を促した |
| 今後の課題・支援方針 | 指示理解が安定してきたため、次回は作業の振り返りを取り入れる |
記録を書く際のポイント
① 客観的に書く
感情や主観ではなく、事実に基づいて書くことが基本です。
例)
❌「やる気がなかった」
⭕「作業開始時に机に伏せ、声かけに5分ほど反応がなかった」
② 5W1Hを意識する
- When(いつ):時間・場面
- Where(どこで):活動場所
- Who(誰が):関係職員・利用者
- What(何を):支援内容・行動
- Why(なぜ):背景や要因(必要に応じて)
- How(どのように):支援の方法や結果
③ 「事実」と「支援者の判断」を分ける
事実(利用者の行動)と支援者の評価(判断・感想)を明確に区別しましょう。
例)
- 事実:「作業指示後、3分以内に開始した」
- 判断:「以前より反応が早くなっていると感じられる」
④ 簡潔で読みやすく
記録はチーム全員が読むもの。専門用語を多用せず、短く・わかりやすくまとめましょう。
良い記録と悪い記録の比較
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 午前中、元気がなかった。 | 午前10時ごろ、作業中に手が止まる様子が3回見られた。声かけに「眠い」と返答があった。 |
| 支援員の話を聞いていなかった。 | 支援員の説明中、他の利用者と話をしており、内容を聞き逃す場面があった。再度説明すると理解できた。 |
記録の活用方法
- チームミーティングで共有し、支援方針を見直す
- 支援計画書の更新時に参考にする
- 家族や関係機関への報告資料として活用する
- 事故やトラブルの原因分析に役立てる
まとめ
個別支援記録は「書くこと」自体が目的ではなく、
「より良い支援につなげるためのツール」です。
客観的に、継続的に、そしてチームで活かすことが大切です。
記録を書くコツまとめ
- 事実を正確に、主観を排除する
- 5W1Hを意識する
- 短く・具体的に
- 次の支援につながる内容を残す




