
ヒヤリハットとは何か?
ヒヤリハットとは、「事故には至らなかったものの、ヒヤリとした・ハッとした出来事」を指します。
転倒しそうになった、薬を渡し間違えそうになった、利用者同士のトラブルが起きかけた──こうした未遂レベルの出来事が該当します。
重要なのは、ヒヤリハットは「失敗」ではなく、事故を未然に防ぐための貴重な情報源であるという点です。
なぜヒヤリハットが事故防止につながるのか
重大事故の多くは、突然起こるものではありません。
その背景には、同じようなヒヤリハットが何度も繰り返されているケースが多くあります。
これは「ハインリッヒの法則」と呼ばれ、
- 1件の重大事故の背後には
- 29件の軽微な事故
- 300件のヒヤリハット
が存在するとされています。
ヒヤリハットを見逃さずに拾い上げることは、事故の芽を早い段階で摘み取る行為なのです。
ヒヤリハットが形骸化してしまう理由
多くの現場でヒヤリハットがうまく活用されない原因は、次のような点にあります。
- 「書いても何も変わらない」と感じている
- 報告=ミスの指摘、という雰囲気がある
- 個人の注意不足として処理されている
- 忙しくて振り返る時間がない
ヒヤリハットが“報告すること自体が目的”になってしまうと、事故防止にはつながりません。
ヒヤリハットを活かすための基本的な考え方
① 個人ではなく「仕組み」に目を向ける
ヒヤリハットは、誰か一人の不注意ではなく、
- 環境
- ルール
- 情報共有
- 人員配置
など、仕組みの弱さを教えてくれます。
「なぜ起きたのか」を個人ではなく構造で考えることが重要です。
② 小さな気づきを否定しない
「これくらい大したことないかも」と感じる出来事ほど、実は重要です。
小さな違和感を言語化できる現場ほど、事故は起こりにくくなります。
③ 気づきを“行動の変化”につなげる
ヒヤリハットは、
- 共有され
- 話し合われ
- 具体的な改善につながって
はじめて意味を持ちます。
「気をつけましょう」で終わらせず、
- 配置を変える
- 表示を追加する
- 手順を見直す
といった具体策に落とし込みます。
ヒヤリハット活用の具体的ステップ
ステップ1:書きやすい・話しやすい環境をつくる
- フォーマットは簡潔に
- 文章が苦手でも書ける項目形式
- 口頭報告でも拾い上げる姿勢
報告のハードルを下げることが第一歩です。
ステップ2:定期的に共有・振り返る
朝礼やミーティングで、
- 「最近あったヒヤリハット」
- 「同じことが起きそうな場面」
を短時間でも共有します。
量よりも継続が重要です。
ステップ3:改善策を小さく試す
完璧な対策を目指す必要はありません。
「まず一つ変えてみる」という姿勢が、現場を動かします。
ステップ4:改善後の変化を確認する
対策後に
- ヒヤリハットが減ったか
- 別の問題が出ていないか
を確認し、必要に応じて調整します。
ヒヤリハットを「安心して出せる文化」へ
最も大切なのは、ヒヤリハットを出した人が守られることです。
- 責めない
- 評価を下げない
- むしろ感謝する
この姿勢がある現場では、情報が自然と集まり、事故は減っていきます。
まとめ|ヒヤリハットは現場からのメッセージ
ヒヤリハットは、
「もっと安全にできる」という現場からのサインです。
小さな気づきを拾い、共有し、改善につなげる。
その積み重ねが、重大事故を防ぎ、安心して働ける環境をつくります。





