障害者施設での実習は、とても大切な学びの場です。
実習前に心構えとして「気を付けたいこと」を整理してみました。
基本的な心構え
・相手を一人の人として尊重すること
「障害があるから特別」ではなく、その人らしさを理解し、対等な姿勢を大切にする。
・安全第一
利用者さんの安全・自分の安全を常に意識。特に移動や介助の場面で注意が必要。
・観察力を持つ
言葉で表現できない場合も多いので、表情・しぐさ・行動の変化に気づく力を養う。
利用者との関わり
・声かけはゆっくり、わかりやすく
短い言葉で、落ち着いたトーンで話す。
・できることを奪わない
本人ができることは尊重し、「待つ姿勢」を持つ。
・プライバシーを守る
着替えや排泄など、支援時には尊厳を守る行動を。
施設での行動
・挨拶・マナーを大切に
職員や利用者に対しても基本の礼儀を忘れない。
・報告・連絡・相談を徹底
些細なことでも一人で判断せず、必ず職員に確認。
・記録を正しく
実習日誌や観察記録は、客観的で丁寧に。
⚠️ 特に注意したいこと
・過度に特別扱いしない
子ども扱い・同情的な態度はNG。
・勝手な判断や介助をしない
職員の指示に従うことが安全につながる。
・感染症や衛生管理
手洗い・消毒・マスクなど基本的な衛生習慣を徹底。
実習をより良いものにするために
・「なぜこの支援が必要なのか?」を考える
・施設の理念や職員の工夫を学ぶ姿勢を持つ
・失敗を恐れず、振り返りを大切にする
「障害者施設」といっても 生活介護・就労支援・入所施設・グループホーム などいろいろ種類があります。障害者施設の種類ごとに「実習で気を付けたいこと」を心構えの基本+各施設の特徴的な注意点を押さえると安心です。
共通の基本的な心構え(どの施設でも)
・人として尊重すること:障害ではなく、その人自身を見て関わる。
・安全第一:移動・食事・排泄・入浴など介助時は常に注意。
・観察力を大切に:言葉だけでなく表情や動作の変化にも気づく。
・過剰に助けすぎない:できることは本人に任せる。
・報告・連絡・相談:勝手に判断せず必ず職員に確認。
・記録は客観的に:日誌やメモは「事実」を丁寧に残す。
施設別の注意点
1. 生活介護(通所型・日中活動の場)
・日常生活の介助(食事・トイレ・入浴など)が中心。
・作業活動や余暇活動でのサポートも重要。
注意点:
自立を尊重しつつ必要な介助はしっかり。
活動参加の意欲を大切に、無理にやらせない。
感情の変化(不安・苛立ち)に早めに気づく。
2. 就労継続支援(A型・B型)
軽作業・内職・企業への就労支援が中心。
利用者は「働くこと」を目標に来ている。
注意点:
作業の手順をわかりやすく伝える。
スピードより「できた達成感」を大事にする。
支援の際に「手を出しすぎない」こと。
3. 入所施設(24時間の生活支援)
食事・入浴・就寝など生活全般を支える。
夜間や休日の様子も含めて生活の流れを学べる。
注意点:
プライバシーと尊厳を守る(着替え・排泄・入浴)。
安全確認を徹底(転倒・誤飲・夜間の見守り)。
長時間の関わりなので、感情の波を丁寧に受け止める。
4. グループホーム(地域での小規模生活の場)
少人数で共同生活を送る場。
生活の自立支援(掃除・洗濯・調理など)が中心。
注意点:
家庭的な雰囲気を壊さない。
家事のサポートは「一緒にやる」姿勢を大切に。
住人同士の人間関係にも配慮する。
⚠️ 特に共通して注意したいこと
差別的・子ども扱いの態度はNG
勝手な判断や介助はNG(必ず職員と相談)
衛生管理を徹底(手洗い・マスク・消毒)
利用者の「できること」を奪わない
実習をより充実させるために
・「なぜこの支援が必要なのか?」を意識して見る
・職員の声かけ・接し方を観察して学ぶ
・毎日の振り返りを丁寧に行い、自分の成長につなげる
では 生活介護 と 就労支援(A・B型) にしぼって、実習で気を付けたいことを「チェックリスト形式」で整理しました。実習前の心構えや当日の行動の確認に使ってください。
生活介護 と 就労支援(A・B型)の実習で気を付けたいチェックリスト
✅ 生活介護で気を付けること
基本姿勢
[ ] 「障害」ではなく「その人自身」を尊重する
[ ] できることは見守り、必要なときにだけ介助する
[ ] 表情やしぐさの小さな変化に気づく
利用者との関わり
[ ] 声かけは短く、落ち着いたトーンで伝える
[ ] 活動は無理にやらせず「参加できたこと」を喜ぶ
[ ] 感情が不安定なときは焦らず、安心できるように接する
生活面の支援
[ ] 食事・排泄・入浴介助では安全とプライバシーを優先
[ ] 感染症予防(手洗い・消毒)を徹底
[ ] 移動介助のときは転倒や衝突に注意
✅ 就労支援で気を付けること
基本姿勢
[ ] 「働くことのやりがい」を大切にする
[ ] スピードより「できた達成感」を優先する
[ ] 支援は最小限に、利用者の力を信じて待つ
作業場面での支援
[ ] 作業手順をわかりやすく、短い言葉で説明する
[ ] 実際にやって見せる(モデリング)ことも有効
[ ] 作業の出来・不出来だけでなく「頑張ったこと」を評価する
人との関わり
[ ] 利用者同士の関係に配慮し、トラブル時は職員に報告
[ ] 職員の指示を必ず確認し、自己判断しない
[ ] 挨拶や声かけなど社会性を育む姿勢を持つ
共通で注意すること
[ ] 子ども扱いや特別扱いをしない
[ ] 勝手に介助や判断をしない(必ず職員に相談)
[ ] 衛生管理・安全管理を常に意識
[ ] 実習日誌や記録は「客観的事実」で書く
「実習ノートの書き方」
実習ノートは 客観的事実 と 自分の学び・気づき を分けて書くのがポイントです。
生活介護・就労支援どちらにも対応できるようにしています。
① 日付・天気・体調
基本情報を書いて、その日の自分のコンディションを簡単に記録。
例: 8月30日(火) 晴れ 体調良好
② 今日の目標(実習前に書く)
「声かけをゆっくりする」「安全面に注意する」など1~2個。
例: 今日は利用者さんの表情の変化に気づくことを意識する。
③ 活動内容(事実を簡潔に)
誰と、どんな場面で、何をしたか を時系列で。
感情や評価は入れず、事実だけを書く。
例: 午前:レクリエーション(紙芝居)を見守った。
午後:作業所での袋詰めの見学。途中から一部利用者の支援に参加。
④ 学び・気づき(自分の考え)
体験して感じたことや、職員から学んだことを書く。
「できた」「できなかった」だけでなく「なぜそうだったか」まで考える。
例: 支援では手を出しすぎず、できるまで待つことが大切だと感じた。
利用者さんは説明よりも、実際に見せるほうが理解しやすいと学んだ。
⑤ 課題・次の目標
明日意識することや改善点を書く。
例: 声が小さく聞き取りにくいと指摘された。明日はゆっくり大きな声で話すことを目標にする。
実習後の振り返りリスト
毎日実習が終わった後に、自分に問いかけて答える形式です。
自分の行動
[ ] 今日、利用者さんに「できることを奪わずに」関われたか?
[ ] 安全面(転倒・誤飲・介助)に注意できたか?
[ ] 職員への報告・連絡・相談をきちんとできたか?
利用者との関わり
[ ] 声かけは短く、ゆっくり、わかりやすくできたか?
[ ] 相手の表情やしぐさから気持ちを読み取れたか?
[ ] 達成感や「できた喜び」を大事にできたか?
学び・改善点
[ ] 今日の体験から新しく学んだことは?
[ ] うまくできなかったことは何か?
[ ] 明日の目標は何か?
これを実習ノートの「最後の欄」にチェック形式で入れておくと、毎日の振り返りが習慣化できます。