
障害者施設では、職員会議や支援会議など、日常的に話し合いの場があります。
その中でファシリテーターは、「意見を引き出し、方向性を整理する進行役」として重要な役割を果たします。
支援の質を高めるためにも、ファシリテーションスキルを磨くことが欠かせません。
ファシリテーター上達の6つの実践ポイント
① 安心できる場づくりを意識する
障害者支援のチームは、職種や立場、経験年数がさまざまです。
まずは「意見が言いやすい雰囲気」を作ることが大切です。
● 実践のコツ
- 否定せず、受け止める姿勢を持つ
- 発言を遮らない
- 小さな意見にも感謝を伝える
- 会議の目的とゴールを冒頭で共有する
例:
「どんな小さな気づきでも構いません。自由に意見を出してくださいね。」
② 聴く力を磨く
ファシリテーションの基本は「傾聴」です。
特に、利用者や家族の気持ちが関わる話題では、評価せずに受け止める姿勢が重要です。
● 実践のコツ
- 要約して確認する:「○○さんは、~という意味ですね?」
- 感情を認める:「それは大変でしたね」
- 背景にある「想い」や「価値観」に注目する
③ 質の高い問いかけで意見を引き出す
「なぜ?」ではなく、「どうしたら?」という未来志向の問いを使うことで、前向きな話し合いにつながります。
● 良い問いの例
- 「○○さんの強みを活かすには、どんな支援ができますか?」
- 「いま一番困っていることは何でしょう?」
- 「他の視点から見ると、どう感じますか?」
🟡 悪い問いの例
- 「なぜできなかったんですか?」(責める印象を与える)
④ 話を整理・可視化する力をつける
会議では、話が広がりすぎて混乱することもあります。
ホワイトボードや模造紙を活用して、意見を「見える化」しましょう。
● まとめ方のコツ
- 「現状」「課題」「対応策」に分けて整理する
- 似た意見はグループ化する
- 決まったこと・保留事項を明確にする
例:
「今の意見をまとめると、『支援体制』『家族対応』『環境調整』の3点が挙げられますね。」
⑤ 振り返りを習慣化する
ファシリテーションは経験で磨かれます。
毎回の会議を振り返り、次に活かすことが上達の近道です。
● 振り返りの視点
- 話しやすい雰囲気だったか?
- 全員の意見を引き出せたか?
- 時間配分やまとめ方は適切だったか?
おすすめ:
「ファシリテーション記録ノート」を作り、うまくいった点と課題を書き出す。
⑥ チームで学び合う仕組みをつくる
ファシリテーションは、個人スキルではなくチーム文化として育てることが理想です。
● チームでできる工夫
- 話し合いの進め方をテーマにした研修を行う
- ファシリテーション担当者をローテーション制にする
- 良かった事例を共有して学び合う
まとめ|技術だけでなく「人への尊重」が上達の鍵
障害者施設でのファシリテーションは、技術以上に人を尊重する姿勢が求められます。
「誰もが話しやすく、支援を共に考える場」を意識することが、真のファシリテーターへの第一歩です。
まとめ表
ポイント | 内容 |
---|---|
安心できる場づくり | 否定せず、聴く姿勢を持つ |
聴く力 | 要約・共感・傾聴 |
問いの力 | 前向きな質問で引き出す |
構造化 | 見える化で整理 |
振り返り | 毎回の改善 |
チーム学習 | 経験を共有して成長 |