共感的理解とは？福祉職員に求められる支援の基本姿勢 |

はじめに

福祉の現場では、利用者一人ひとりの気持ちや状況を理解することが大切です。その中でも特に重要なのが「共感的理解」です。単なる同情や励ましではなく、相手の立場に立って気持ちを理解しようとする姿勢が求められます。
本記事では、共感的理解の意味や実践ポイントをわかりやすく解説します。

共感的理解とは、相手の立場や感情を自分のことのように感じ取り、相手の内面を理解しようとすることを指します。
心理学者カール・ロジャーズが提唱した「来談者中心療法」の中で重視されている考え方で、福祉や医療、教育など幅広い分野で活用されています。

共感的理解は「相手の気持ちを理解すること」であり、「かわいそう」と感情的に同調する同情とは異なります。
同情は上から目線になりやすいのに対し、共感的理解は相手と対等な関係を保ちます。

利用者：「最近、みんなに迷惑ばかりかけてしまって…」
職員：「そんなことないですよ、大丈夫です！」

→ 否定して安心させようとしていますが、利用者の気持ちは十分に受け止められていません。

利用者：「最近、みんなに迷惑ばかりかけてしまって…」
職員：「迷惑をかけてしまっていると感じて、つらい気持ちなんですね。」

→ 相手の感情をそのまま受け止め、理解を示す姿勢です。
これにより利用者は「気持ちをわかってもらえた」と感じやすくなります。

共感的理解は、利用者との信頼関係を築くための基礎です。
相手が「この人は自分を理解してくれている」と感じることで、安心して本音を話せるようになります。

利用者の気持ちや背景を理解することで、より個別性のある支援が可能になります。
表面的な行動だけで判断せず、「なぜその行動をとっているのか」を理解することが大切です。

自分の思いを受け止めてもらうことで、利用者の心理的な負担や孤独感が軽減される効果もあります。

相手の話を途中でさえぎらず、うなずきや相づちを交えながら丁寧に聴くことで、安心感を与えます。
「あなたの話を大切に聞いています」という姿勢が信頼につながります。

「良い・悪い」「正しい・間違っている」と評価せず、その人の感じている事実を受け止めましょう。

表情、声のトーン、姿勢なども重要なメッセージです。
穏やかな表情と落ち着いた声で対応することで、安心感を伝えられます。

相手の気持ちに寄り添いつつも、自分が感情的に巻き込まれないよう注意が必要です。
支援者自身の心のバランスも大切にしましょう。

共感的理解は、福祉職員にとって欠かせない基本姿勢です。
相手の言葉だけでなく、その背景にある気持ちや思いを感じ取る力を磨くことで、より深い信頼関係と質の高い支援が実現します。

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