
なぜ「アセスメント」が重要なのか
「この人にはこの支援が合っているはず」
そう思って行った支援が、なぜかうまくいかない。福祉・介護・障害者支援の現場では、そんな経験が珍しくありません。
その原因の多くは、利用者理解が十分でないまま支援を始めてしまうことにあります。
そこで重要になるのが「アセスメント」です。
アセスメントは、支援の前提となる“理解の土台”。
支援の質を左右する、最初の一歩と言っても過言ではありません。
アセスメントとは?|簡単に言うと「理解のための整理」
アセスメント(assessment)とは、
利用者の状況・背景・強み・困りごとを多面的に整理し、理解するプロセスのことです。
ポイントは、「評価」や「判断」を急がないこと。
アセスメントは結論を出す作業ではなく、材料を集めて整理する作業です。
- 何ができるか/できないか
- なぜその行動が起きているのか
- どんな環境だと力を発揮しやすいのか
こうした問いに、事実ベースで近づいていく過程がアセスメントです。
よくある誤解|アセスメント=能力評価ではない
現場でよくある誤解が、
「アセスメント=能力や問題点を評価すること」という考え方です。
しかし本来のアセスメントは、
できない理由を探すためのものではありません。
たとえば──
- 指示が通らない → 理解力が低い
- 行動が荒れる → 問題行動が多い
と短絡的に結論づけるのではなく、
- 指示の出し方は適切だったか
- 環境刺激は過剰ではなかったか
- 不安や疲労がたまっていなかったか
と、背景や条件を丁寧に見ていく視点がアセスメントです。
アセスメントで見るべき主な視点
アセスメントでは、一つの側面だけを見ると理解が偏ります。
以下のような複数の視点を行き来しながら整理していきます。
① 生活・環境の視点
- 生活リズム
- 住環境
- 人との関わり方
- 音・光・空間などの刺激
② 心身の状態
- 体調の波
- 疲れやすさ
- 感覚特性
- 不安や緊張の強さ
③ 得意・強み
- 落ち着いて過ごせる場面
- 自然にできている行動
- 好きなこと・興味のあること
④ コミュニケーションの特徴
- 言語理解・表出の方法
- 非言語サイン(表情・視線・行動)
- 伝わりやすい関わり方
アセスメントは「一度やって終わり」ではない
アセスメントは、支援開始前だけの作業ではありません。
- 環境が変わったとき
- 行動に変化が出たとき
- 支援がうまくいかなくなったとき
こうしたタイミングで、何度も見直されるものです。
人は固定された存在ではなく、
環境・関係性・経験によって変化します。
アセスメントもまた、更新され続ける理解なのです。
アセスメントが支援にもたらす効果
丁寧なアセスメントがあると、支援は大きく変わります。
- 「なぜ起きているか」が見える
- 不必要な制限や禁止が減る
- 利用者の強みを活かした支援ができる
- チーム内で共通理解が生まれる
結果として、
利用者にとっても、支援者にとっても負担の少ない支援につながります。
アセスメントは「理解し続ける姿勢」
アセスメントとは、
「この人をわかったつもりにならない」ための仕組みです。
支援の正解を探す前に、
まずは丁寧に観察し、聴き、整理する。
その積み重ねが、
利用者の尊厳を守る支援、納得感のある支援を支えています。
支援が迷子になったときほど、
立ち返るべきはアセスメント。
理解の第一歩は、いつもここから始まります。




