
はじめに
福祉施設では、利用者の安全を守るために「事故記録」は非常に重要です。
転倒やけがなどの明らかな事故だけでなく、「ヒヤリハット(事故になりかけた事例)」も含め、適切に記録・報告することが求められます。
本記事では、事故記録の基準や記載内容、報告の流れをわかりやすく解説します。
事故記録の基準とは
事故記録の基準とは、施設内で発生した事故やトラブルを、一定のルールに基づいて漏れなく・正確に記録するための基準です。
目的は、事故の原因を明確にし、再発を防止することにあります。
記録対象となる事故
事故記録の対象となるのは、次のようなケースです。
- 利用者のけがや体調不良
- 職員の対応ミス・判断ミスによる危険な状況
- 他利用者や職員とのトラブル
- 物損事故(施設設備・送迎車の破損など)
- ヒヤリハット(事故には至らないが危険があった場合)
けががなくても危険が生じた場合は必ず記録することが大切です。
記録内容の基本項目
事故記録書には、以下の内容を明確に記載します。
1. 発生日時・場所
事故が起きた正確な日時と場所を記入します。
2. 当事者情報
関係者(利用者・職員など)の氏名、所属、状態を明記します。
3. 事故の状況
客観的に、何が起きたかを時系列で記載します。感情的・主観的な表現は避けましょう。
4. 原因・背景
考えられる要因(環境・人・行動など)を分析します。
5. 対応・処置内容
応急手当、医療機関受診、家族連絡などの対応を記録します。
6. 再発防止策
今後同じ事故を防ぐための改善点や対策を具体的に記載します。
7. 記録者・確認者
記録者、上長、管理者などの署名・確認印を残します。
事故の重要度と報告基準
事故はその重大性によって、報告や対応のレベルが異なります。
| 区分 | 内容 | 対応・報告先 |
|---|---|---|
| 重大事故 | 骨折、頭部外傷、入院、死亡など | 速やかに上司・家族・行政へ報告。詳細な事故報告書を提出。 |
| 中程度事故 | 打撲、擦過傷、軽度のけがなど | 管理者・家族へ報告。事故報告書を提出。 |
| 軽微事故・ヒヤリハット | けがなし、危険回避ができた場合 | ヒヤリハット報告書として記録し、職員間で共有。 |
記録・報告のタイミング
事故が発生した場合は、次の流れで記録・報告を行います。
- 発生直後:一次対応と簡易メモの記録
- 当日中:事故報告書を正式に作成
- 管理者確認:内容を上長・サービス管理責任者が確認
- 家族・関係機関報告:必要に応じて連絡
- 定期分析:月次・年次で事故分析を実施し再発防止策を検討
再発防止に向けた活用
事故記録は単なる「報告書」ではなく、安全管理の改善ツールとして活用します。
- 類似事故の発生傾向を分析
- 職員研修やマニュアルの見直し
- 環境改善や支援方法の再検討
記録を積み重ねることで、職員全体の危機管理意識も高まります。
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 記録対象 | けが・体調不良・ヒヤリハット・物損事故など |
| 記録基準 | 重大・中程度・軽微の区分で全件記録 |
| 記録目的 | 安全確保・再発防止・責任明確化 |
| 活用方法 | 分析・共有・教育に生かす |
さいごに
事故記録は、「書くことが目的」ではなく、「次に活かすこと」が本質です。
小さなヒヤリハットも共有し、チーム全体で安全な支援環境をつくりましょう。





