
はじめに:福祉の現場で「用語理解」は大切
障害者施設での支援は、法律や制度、専門的な考え方に基づいて行われます。
そのため、基本的な用語や仕組みを理解しておくことは、利用者支援の質を高める上で非常に重要です。
この記事では、現場でよく使われる福祉関連の用語をカテゴリ別にわかりやすく紹介します。
🏛 制度・法律に関する用語
障害者総合支援法
障害のある人が地域で自立した生活を送るための支援を定めた法律。
介護給付や訓練等給付などの福祉サービスは、この法律をもとに提供されています。
障害支援区分
介護給付サービスを利用するために必要な「支援の必要度」を示す区分(1〜6段階)。
区分が高いほど、より多くの支援が必要と判断されます。
相談支援専門員
利用者の希望や課題を整理し、サービス等利用計画を作成する専門職。
関係機関と連携しながら支援のコーディネートを行います。
サービス等利用計画
利用者が自分らしく生活できるよう、目標や支援内容をまとめた計画書。
支援内容の方向性を示す「支援の設計図」です。
モニタリング
支援計画に沿ってサービスが適切に提供されているかを、定期的に確認・評価すること。
サービス・支援に関する用語
介護給付
食事や排泄、入浴などの日常生活の介護を中心とした支援。
例:居宅介護、重度訪問介護、短期入所など。
訓練等給付
就労や生活能力の向上を目的とした支援。
例:就労継続支援B型、生活訓練など。
個別支援計画(ISP)
施設や事業所が作成する、利用者一人ひとりに合わせた具体的な支援計画書。
「どんな支援を、どのように行うか」を明確にします。
ADL(Activities of Daily Living)
食事・入浴・排泄・着替えなど、日常生活を送るために必要な基本動作のこと。
QOL(Quality of Life)
「生活の質」を意味し、利用者が安心・満足して生活できる状態を目指す考え方。
行動・心理に関する用語
ASD(自閉スペクトラム症)
対人関係やコミュニケーションの特性を持つ発達障害の一つ。感覚過敏などを伴うこともあります。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意の持続が難しかったり、衝動的な行動が見られたりする発達障害。
知的障害
知的機能の発達に遅れがあり、日常生活において支援を必要とする状態。
行動障害
自傷や他害、強いこだわりなど、環境に適応しづらい行動を示すこと。
スモールステップ
小さな目標を設定し、達成を積み重ねることで自信と成長を促す支援方法。
記録・会議に関する用語
アセスメント
利用者の生活状況や課題を把握し、支援の方向性を検討するための評価・分析。
ケース会議
複数の職員が集まり、支援方針や課題を共有・検討する会議。
支援記録
日々の支援内容や利用者の様子を記録したもの。次の支援や評価に活かされます。
リスクマネジメント
事故やトラブルを未然に防ぐための取り組みや体制。
インシデント・アクシデント
- インシデント:ヒヤリハットなどの「事故未遂」。
- アクシデント:実際に起こった事故やトラブル。
チーム支援・理念に関する用語
ストレングスモデル
利用者の「強み」や「得意なこと」に焦点をあてて支援を行う考え方。
エンパワメント
利用者自身が自分の力を発揮できるよう、主体性を尊重して支援する姿勢。
アドボカシー
利用者の権利を守り、社会の中で不利益を受けないよう代弁・支援すること。
ノーマライゼーション
障害のある人も、ない人も、共に地域で生活できる社会を目指す理念。
インクルージョン
多様な人が排除されずに社会に包み込まれる状態。共生社会の基本概念です。
医療・福祉連携に関する用語
多職種連携
支援員・看護師・相談員など、異なる専門職が協力して利用者を支援すること。
バイタルサイン
体温・脈拍・血圧・呼吸など、健康状態を把握するための基本的指標。
服薬管理
薬の飲み忘れや誤薬を防ぐための支援。服薬表や声かけが重要です。
緊急時対応マニュアル
けがや発作、事故などの緊急事態に備えるための施設内ルール。
まとめ:用語理解は「チーム支援の第一歩」
障害者施設での支援は、さまざまな専門職や制度、理念のもとに成り立っています。
そのため、用語を理解しておくことで、支援の質が上がり、チーム内での連携もスムーズになります。
日々の業務で出てくる言葉を一つずつ覚えながら、安心して働ける環境をつくっていきましょう。

