ポジティブリスクテイキングの考え方|障害福祉で「挑戦」を支える支援とは

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ポジティブリスクテイキングは、障害福祉の現場で近年重視されている支援理念です。
利用者の安全を守りながらも、「できること」「やりたいこと」を広げるために、必要なリスクの“適切な取り扱い”を行う考え方です。

「危ないからやめておこう」という“過剰保護”では、生活の幅が狭まり、自立の機会も失われます。
反対に、危険を十分に評価しない“無謀な挑戦”も避けなければなりません。

この記事では、支援現場で使える ポジティブリスクテイキングの基本概念・進め方・具体例 をわかりやすく解説します。


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ポジティブリスクテイキングとは?

ポジティブリスクテイキングとは、利用者の「やりたい」「できるようになりたい」という希望を叶えるために、
必要なリスクを正しく評価・共有し、可能な限り安全に挑戦を支える支援方法 のことです。

従来の「リスク回避」との違い

従来の福祉では、事故防止や安全確保が最優先で、リスク=避けるものとされがちでした。
しかし今の考え方では、リスクには次の2種類があると捉えます。

  • ネガティブリスク…危険ばかりで利益がない
  • ポジティブリスク…挑戦によって成長や達成感を得られる

ポジティブリスクテイキングは、後者(挑戦の先にある利益)を支えるアプローチです。


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なぜ障害福祉で必要なのか?

障害福祉の支援理念である「自己決定」「自立支援」と深く結びついているからです。

1. 生活の主体性を育てる

「自分で選んで動く力」は、挑戦の機会がなければ育ちません。
安全確保だけを優先すると、できることまで制限してしまう恐れがあります。

2. 自信・自己効力感が高まる

小さな成功体験を積むことで
「自分にもできた!」という肯定感が育ちます。

3. 社会参加の幅が広がる

外出・買い物・就労など、実際の生活場面の挑戦はすべて軽微なリスクを伴います。
そのリスクを適切に扱うことで、参加の幅が大きく広がります。


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ポジティブリスクテイキングの基本ステップ

① 本人の希望を明確にする

「何がしたいのか」「何を選びたいのか」を丁寧に聴くところから始まります。
この段階では否定せず、本人の意図・価値観・目的を確認します。

② リスクを正しく“見える化”する

ここで重要なのは、
「その行動で起こり得る危険」

「挑戦によって得られる利益」
の両方を具体的に整理することです。

例:一人でコンビニに行きたい
・リスク:道に迷う、車に注意できない
・利益:買い物の自立、達成感、社会参加機会

③ 支援者チームで共有し、管理方法を検討する

福祉施設では、属人的な判断を避けるため
チームで合意形成 を行うことが重要です。

・必要な支援
・危険を下げる工夫
・見守りレベル
・利用者本人への説明

これらを共有して初めて安全な挑戦が可能になります。

④ 本人に選択肢と情報を提供する

「何が危険で、どうすれば安全になるのか」
「どこまでなら挑戦しやすいか」
など、本人の理解に合わせて情報を提供します。

⑤ 実践→振り返り→再調整

挑戦して終わりではなく、必ず振り返りを行います。

・できたこと
・難しかったこと
・次回の改善点(見守り増減など)

このサイクルを続けることで、安全性と挑戦のバランスが整っていきます。


支援現場での具体例

例1:一人での買い物チャレンジ

・事前に地図を確認
・目印になる建物を共有
・万が一迷った時の連絡方法を決める
→ 小さな距離から挑戦し、徐々に範囲を広げる

例2:調理リハビリの火・刃物使用

・危険個所を明示
・スタッフが横についてサポート
・火を使う工程を段階的に増やす
→ 自立した生活技能につながる

例3:就労先での新しい業務

・作業工程を分解して説明
・難しい部分のみ支援
・成功したら役割を少し広げる
→ 働く自信の獲得につながる


支援者が注意したいポイント

「安全>挑戦」になり過ぎていないかを常に確認する

安全はもちろん大前提ですが、
“安全だけを優先して挑戦の機会を奪っていないか”
を定期的に見直す姿勢が必要です。

記録を残し、チームで振り返る

事故が起こらないようにするためにも、
・実施内容
・リスク評価
・本人の反応
を記録し、チームで共有することが重要です。

倫理的な配慮を忘れない

本人が十分理解できる形で説明すること、
無理に挑戦させないこと、
拒否の意思を尊重することが倫理的な基本になります。


まとめ|挑戦できる環境こそ“支援”である

ポジティブリスクテイキングは、
「リスクがあっても挑戦を止めない」
「安全を確保しながら本人の希望を叶える」
というバランスの取れた支援方法です。

過剰な保護では本人の可能性は広がりません。
小さな一歩でも支援者が適切に伴走することで、
本人の自信と社会参加の幅が大きく広がっていきます。

障害福祉の現場で、積極的に取り入れる価値のある考え方です。

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