
この記事でわかること
障害福祉の現場で求められる「意思決定支援」を、プロセスに沿ってわかりやすく解説します。
選択が難しい人でも“自分の意思”を丁寧に引き出すための関わり方、声かけの実例も紹介します。
目次
- 意思決定支援とは
- 意思決定支援の基本原則
- 意思決定支援のプロセス(段階的に引き出す)
- 実践で使える関わり方と声かけ例
- 注意したいポイント
- まとめ
1|意思決定支援とは
意思決定支援とは、本人が望む生活・選択を自分で決められるよう、情報提供や環境調整を行いながら“自分の意思”を引き出す支援のことです。
本人にわかりやすい方法で情報を届け、比較できるよう手助けし、“決める力を育てる”のが目的です。
支援者が代わりに判断することではなく、選択の主体はあくまで本人です。
2|意思決定支援の基本原則
本人主体
生活の主役は本人。どんなに小さな意思でも尊重することが前提です。
最小限の支援で最大の理解を引き出す
支援者が先回りしすぎず、必要な部分のみ手助けします。
理解できる形への情報変換
文章、写真、絵カード、実物、動画など、本人が理解しやすい形に置き換えます。
「できる・できない」ではなく“どうすればできるか”を考える
決定が難しいときは環境・選択肢・伝え方を工夫する姿勢が大切です。
3|意思決定支援のプロセス(段階的に引き出す方法)
意思決定支援は、“一気に決めてもらう”のではなく、段階的に引き出すことで成功しやすくなります。
STEP1|意思の兆候を観察する
・表情、視線、身体の向き、行動の変化
・避ける/近づく/見つめる/触る
言葉以外のサインも立派な意思です。
例: スーパーで同じお菓子棚の前に留まる → 興味がある可能性
例: 聞いたあとに身体がこわばる → 嫌・不安の兆候
STEP2|気持ちを言葉に代弁して確認する
観察から“推測”して、言葉にして確認します。
声かけ例
「これ、好きかもしれない?」
「もしかしてこっちが気になる?」
「嫌だったら違うよって言ってね。」
STEP3|選択肢をわかりやすく提示する
最初は2択が基本。
・写真カード
・実物
・短い言葉
相手が理解しやすい方法に変換することがポイントです。
例: 服 → 実物を並べる
例: 行き先 → 写真カードで比較
例: 食べ物 → 1つずつ手に取って見せる
STEP4|時間を確保する
すぐ決められない人も多いため、「考える時間」「繰り返し確認」を意識します。
声かけ例
「ゆっくりで大丈夫だよ。」
「また後で決めようか?」
STEP5|本人の意思を反映して実行する
決めてもらった選択を、実際の行動に反映します。
この「選んだ結果が反映される」経験が、意思決定力を育てます。
STEP6|結果を振り返り、次に生かす
失敗も成功も“経験”として次につなげます。
確認例
「今日の選択、どうだった?」
「次は違うのにしてみる?」
「これで良かった?」
“合わなかった”という気づきも大切な意思表示です。
4|実践で使える関わり方と声かけ例
肯定的に受け止める
「違う」「嫌だ」にもしっかり意味があります。
例
「嫌なんだね。じゃあ別の方法を考えよう。」
「そう感じているんだね。」
具体的に短く伝える
抽象的な言葉は避け、目で見える表現に変換します。
例
×「どれにしますか?」
○「AとB、どっちがいい?」
比べやすい状況を作る
・実物を並べる
・触って確かめてもらう
・一緒に歩いて現場を見る
比較は意思決定の基本です。
否定しないで聞き切る
本人の選択が支援者の予想と違っても、まずは受け止めます。
5|注意したいポイント
誘導になりすぎない
支援者の好みや都合に引っ張らないことが大事です。
誘導例(NG)
「こっちの方がいいんじゃない?」
「いつもこっちを選んでるでしょ?」
選択肢を多くしすぎない
初めから5択出すと決められない人が増えます。
まずは2択 → 慣れたら3択 という段階的な調整が有効です。
意思が揺れた時は“変わること”自体を尊重する
人の気持ちは変わるのが自然です。
記録に残す
選択の理由・反応・結果を残しておくと、
他職員との共有や翌年の意思決定支援に活かせます。
6|まとめ|意思決定支援は“段階を守る”と成功しやすい
意思決定支援は、
「本人の気持ちを見つけて、言葉にして、比較して、納得して決めてもらう」
という連続したプロセスです。
段階を飛ばさず、丁寧に“引き出す”支援を積み重ねることで、
本人の自己決定力は確実に育っていきます。
施設内研修やOJTでそのまま使える内容でもあるため、
現場全体の意思決定支援の質向上に役立つはずです。





