
福祉職員にとって「振り返り」とは?
福祉の現場では、日々の支援を「やりっぱなし」にせず、行動や感情を振り返ることが大切です。
振り返りは、利用者理解の深化や、自分の支援スキル向上につながる学びの時間でもあります。
また、振り返りを書くことで、「なぜうまくいったのか」「なぜ伝わらなかったのか」といった原因分析ができ、次の支援改善につながります。
振り返りを書く目的
1. 自己成長のため
自分の行動や感情を客観的に見つめ直すことで、支援者としての成長につながります。
2. チームでの共有のため
他職種や同僚と共有することで、支援方針の統一や新たな気づきを得られます。
3. 利用者理解の深化
「相手の反応をどう受け止めたか」を整理することで、利用者の心情やニーズをより深く理解できます。
振り返りを書くときの基本構成
(1)事実の記録
その日何が起こったのか、どんな支援を行ったのかを具体的に記します。
例:「食事介助の際、Aさんが自らスプーンを持とうとした。」
(2)自分の感じたこと・考えたこと
支援を通して感じたことや、うまくいかなかった点を正直に書きます。
例:「介助を待つ姿勢を取ることで、Aさんの意欲を引き出せたように感じた。」
(3)気づき・学び
その出来事から得た学びを明確にします。
例:「自立を促すには、“待つ支援”が重要であると改めて実感した。」
(4)次への目標
次回に生かしたいことを前向きに書きましょう。
例:「今後もAさんの動作を見守りながら、自分の声かけを工夫していきたい。」
【文例集】福祉職員の振り返り文例
◆新人職員の振り返り例
利用者との会話で、うまく話を広げられず沈黙が多くなってしまった。
しかし、相手の表情を見ながら頷くことで安心感を与えられたと思う。
今後は、利用者の興味に合わせた質問を意識して関係づくりを進めたい。
◆中堅職員の振り返り例
Aさんの入浴介助で、手順を急いでしまい不安な表情を見逃した。
支援のスピードよりも「安心感の提供」が優先であることを再確認。
明日からは声かけのタイミングを見直し、利用者のペースに合わせたい。
◆チームリーダーの振り返り例
新人への指導場面で、注意点ばかり伝えてしまった。
振り返ってみると、良かった点を伝える機会が少なかった。
次回からは「良い支援への承認」を意識し、前向きな指導に変えていく。
振り返りを書くコツと注意点
1. 感情を素直に書く
うまくいかなかったことも含め、自分の感情を表現することで次の改善が見えます。
2. 「原因」と「改善」をセットで
単なる反省で終わらず、次の一歩につなげる視点を持つことが大切です。
3. 主観と客観のバランスを取る
「感じたこと(主観)」と「事実(客観)」をバランスよく書くことで、より説得力のある振り返りになります。
まとめ|振り返りは“支援力”を育てる習慣
振り返りは、ただの「反省」ではなく、自分を育てるための習慣です。
毎日の小さな気づきを丁寧に言葉にすることで、支援の質が確実に向上します。
書く時間を「自分の成長を確認する大切な時間」として取り入れていきましょう。



