障害福祉における「自己決定権」とは?基礎からわかりやすく解説

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障害福祉では「自己決定権」がもっとも大切な理念のひとつです。
支援者が良かれと思って行った行動が、利用者さんの選ぶ力を奪ってしまうこともあります。
この記事では、自己決定権の基本、支援現場での実践ポイント、グレーゾーンの注意点までわかりやすく解説します。


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自己決定権とは?|障害福祉の基本理念

自己決定権の意味

自己決定権とは、「その人が自分の人生に関わる選択を自ら行う権利」のことです。
福祉の支援は“代わりに決めること”ではなく、“自分で決められるように支えること”が目的になります。

なぜ障害福祉で重要なのか

・障害のある人は「決められてしまう経験」を受けやすい
・本人の意思より「支援者の都合」が優先されがち
・小さな選択の積み重ねが、その人の生活の質(QOL)を左右する

自己決定は、尊厳を守り、主体性を育て、暮らしの満足度を高める基盤になります。


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自己決定と意思決定支援の関係

自己決定権は“放任”ではありません。「どうぞご自由に」では支援にならないからです。

自己決定=「選ぶ権利」

意思決定支援=「選べるようにサポートすること」

例えば、
・情報がわからなければ、本人に合った説明をする
・選択肢が理解できなければ、簡潔に整理して提示する
・選ぶのが苦手なら、一緒に考える

これはすべて意思決定支援であり、自己決定権を守る重要な行動です。


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自己決定が尊重されないケースとは?

支援現場には、意識しないうちに自己決定を奪ってしまう場面があります。

1. 「忙しいから」と職員が決めてしまう

例)「今日はこっちでいいよね?」「今はこれにしておこうか」

2. “安全”を理由に自由を制限する

例)散歩の時間や買い物の金額を職員の判断だけで制限する

3. 本人の希望より「施設のルール」が優先される

運営上の必要はあっても、ルールの再検討をせず本人の希望を退けるのはNG。

4. “わかってあげているつもり”で代弁してしまう

「きっとこうしたいはず」という思い込みは、意思のすり替えにつながります。

支援者の好意や効率のために選択を奪うことは、意図せず「権利の侵害」になり得ます。


自己決定権を守るための支援実践ポイント

1. 小さな選択肢を日常に増やす

・服の色を選ぶ
・食事のメニューの選択
・活動の順番を本人が決める
「自分で選ぶ経験」が積み重なると、意思が表れやすくなります。

2. わかりやすい説明・意思表出の工夫

・写真、絵カード、実物提示
・短くシンプルな説明
・必要な情報を一度に言いすぎない
理解を助ける工夫は“自立支援の技術”です。

3. 本人のペースを尊重する

「すぐ決められない」も意思のひとつ。
時間を確保したり、保留を認めることも大切です。

4. リスクは“排除”ではなく“調整”する

安全のために選択肢をゼロにするのではなく、
・場所を変える
・時間帯を調整する
・見守りを強める
といった形で“リスクを下げて希望を叶える”視点が必要です。

5. 家族・チームでの合意形成

家族の意向が強すぎる場合や、職員間で判断が揺れる場合、
共有の場をつくり、本人の利益を中心に調整していきます。


自己決定と支援者責任のバランスは?

支援者は「本人の選択を尊重しつつ、安全と権利を守る」義務があります。
このバランスが難しく、現場で悩みが最も生まれる部分です。

判断ポイントの例

・その選択は本人の生活にどれくらい影響するか
・リスクは調整可能か
・選択の背景に、誤解や情報不足はないか
・本人は本当に望んでいるのか

“できる限り本人の希望を実現し、必要最低限の支援・調整を加える”ことが基本姿勢です。


グレーゾーン場面の考え方

1. 意思がはっきり言えない人の場合

表情、行動、好み、生活のパターンから総合的に推定します。
“過去の選択傾向”も重要な手がかりです。

2. 危険な行動を選びそうなとき

完全に禁止する前に、
・環境調整
・同行・見守り
・事前の説明
などで安全性を高め、本人の希望を最大限尊重します。

3. 本人と家族の希望が違うとき

本人中心(パーソンセンタード)の原則を基準に、支援会議で調整します。


まとめ:自己決定権は「その人らしさを支える力」

自己決定権は、障害のある人が「自分の人生を生きる」ための核心です。
支援とは、生活を“管理すること”ではなく、“その人の選ぶ力を育てること”。
日々の小さな選択を大切にし、本人の意思を形にする支援が、尊厳を守り、豊かな暮らしにつながります。

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