
障害者施設での実習生の関わり方と観察の視点
障害者施設での実習では、利用者の生活や就労をサポートしながら学びを深めることが求められます。この記事では、生活介護・就労支援における実習生の関わり方と、実習記録に役立つ観察の視点リストを紹介します。
実習生の関わり方
生活介護での関わり方
- 利用者の「できること」を尊重し、できない部分をサポートする
- 食事・移動などの介助は職員の指示をよく聞きながら行う
- 創作活動やレクリエーションでは「楽しさ」を引き出す声かけを意識する
- 表情やしぐさから気持ちを読み取り、安心できる環境を整える
就労支援での関わり方
- 「一緒に働く仲間」としての姿勢を持ち、利用者のやる気を尊重する
- 作業の補助はさりげなく行い、自信につながるよう支援する
- 頑張りを認め、「できたね」「いいですね」と肯定的に声をかける
- 時間管理やルールをわかりやすく伝え、就労スキルの定着を助ける
共通して大切な姿勢
- 職員の指示を最優先にする
- 「できた」「笑顔だった」など具体的に観察を残す
- 「なぜそうなったのか」「次にどう関わるか」を振り返りに活かす
観察の視点リスト
共通の観察ポイント
- 表情 … 笑顔や不安など感情の変化
- コミュニケーション … 言葉・ジェスチャー・表情でのやりとり
- 体調・行動 … 疲れやすさや動きにくさ
- 周囲との関係 … 職員や利用者同士の関わり
- 安心感 … 環境に馴染めているか、不安そうか
生活介護での観察ポイント
- 食事・移動・排泄など日常生活の自立度
- 創作活動やレクリエーションへの参加状況
- 好きな活動・苦手な活動での反応の違い
就労支援での観察ポイント
- 作業の理解度や集中力
- 作業スピードや正確さ
- 職員や利用者とのコミュニケーションの取り方
- 褒められた時・失敗した時の反応
- 時間を守れるか、休憩を上手に取れるか
まとめ
障害者施設での実習では、利用者の行動や感情をしっかり観察しながら、安心・安全を第一に関わることが大切です。生活介護では「生活支援」、就労支援では「働く支援」に重点が置かれます。実習生は観察したことを具体的にノートへ記録し、次の関わりにつなげることで学びを深められます。
実習ノートの書き方例
生活介護の例
日付:〇月〇日(〇曜日)
活動内容:午前…創作活動(塗り絵)、午後…散歩
観察したこと
- Aさんは、塗り絵の活動で赤や青など好きな色を選んでいた。
- クレヨンを持つときに手が震えていたため、職員が手を支えると安心した様子で最後まで取り組めた。
- 散歩では職員と手をつなぎ、笑顔が多く見られた。
自分の関わり
- クレヨンを手渡す際に「次はどの色にしますか?」と声をかけると、少し考えてから選んでくれた。
- 散歩のとき「今日は風が気持ちいいですね」と声をかけると、にこっと笑ってうなずいてくれた。
振り返り
- Aさんは「自分で選ぶこと」を大切にしていると感じた。
- 活動を急がせず、本人のペースで関わることが大切だと学んだ。
就労支援の例
日付:〇月〇日(〇曜日)
活動内容:午前…内職作業(袋詰め)、午後…清掃実習
観察したこと
- Bさんは袋詰めの作業を開始後15分ほど集中して取り組んだが、途中から手が止まる様子が見られた。
- 職員が「あと5分頑張ろう」と声をかけると再び集中して作業を続けられた。
- 清掃実習では、雑巾がけを丁寧に行い、終わった後に「できました」と報告していた。
自分の関わり
- 作業が止まったときに「Bさんが並べた袋、とてもきれいですね」と声をかけると、表情が明るくなり再び取り組み始めた。
- 清掃中に「次はどこを拭きますか?」と確認すると、自分で考えて行動できた。
振り返り
- Bさんは褒められることで意欲が高まると感じた。
- 次回は「作業の目標(時間や数)」を一緒に確認すると、達成感につながるのではないかと思った。
書き方のコツ
- 事実(観察)と自分の関わりを分けて書く
→ 主観と客観を区別するとわかりやすい - 具体的に書く
→ 「楽しそう」より「笑顔で拍手していた」と表現する - 振り返りは“気づき”を次につなげる
→ 「こうするともっとよかったかも」を残す