
対象:福祉施設職員(新人~中堅)
目的
利用者の状態や感情変化を、言葉以外の情報から適切に捉え、安心感のある支援につなげる。
1. 研修のねらい
- ノンバーバルとは何かを理解する
- 代表的な観察ポイントを習得する
- 仮説→支援→振り返りの流れを体験する
- 職員自身のノンバーバルが与える影響を理解する
2. 研修の流れ(90分例)
| 時間 | 内容 | 方法 |
|---|---|---|
| 10分 | 導入(目的・重要性) | 講義 |
| 15分 | ノンバーバルの基礎知識 | 講義 |
| 20分 | 代表的な観察ポイント | 講義+ミニ演習 |
| 25分 | ロールプレイ(3場面) | 演習 |
| 15分 | 振り返りと共有 | グループワーク |
| 5分 | まとめ・次回課題 | 講師説明 |
3. 研修内容詳細
■ノンバーバルとは
言葉以外の情報(表情/視線/声のトーン/姿勢/動作/距離感/呼吸/手の動き 等)から相手の状態を読み取る技術。
※評価ではなく「仮説」
例:「怒っている」断定→×
「緊張しているかもしれない」仮説→◎
■観察ポイント
観察は“分解”すると分かりやすい。
- 表情
眉・目・口角・頬の緊張/表情の変化 - 視線
合わせ方/そらし方/瞬きの増減 - 声
高さ/速さ/間(沈黙)/息づかい - 身体
姿勢/手の位置/体の向き/距離 - 動き方
速さ/繰り返し動作/固さ/落ち着き - 変化
「いつもと違う」を拾う
■支援者が意識するポイント
職員のノンバーバルも利用者に影響する。
- 歩く速さ(急ぎすぎない)
- 声の大きさ・トーン(柔らかく、低圧)
- 目線(見下ろさない、焦らせない)
- 姿勢(開いた姿勢、腕を組まない)
- 表情(眉間しわ→不安伝導)
4. 実践演習
■ミニ観察トレーニング
講師が3つの表情・声を演じる
(例:安心/不安/イライラ/緊張)
→参加者が観察ポイントをメモ
■ロールプレイ(3パターン)
- 声をかけても反応が薄い利用者
- 落ち着きがなくソワソワしている利用者
- 表情は笑っているが、声が硬い利用者
参加者流れ:
観察 → 仮説 → どう対応するか → 実施 → 振り返り
5. 振り返り質問例
- どのノンバーバルサインをキャッチしたか?
- そのサインからどんな仮説を立てた?
- どんな関わりが効果的だった?
- 自分のノンバーバルに気付いた点は?
6. 日常の実践アクション
研修後に続ける小さな習慣。
- 朝礼で「昨日見つけたノンバーバル気づき」を共有
- 観察メモを1日1件
- 利用者の“いつもと違う”チェック
- 自分の表情チェック(鏡 or カメラ)
7. 研修資料・備品
- 進行スライドまたはホワイトボード
- 観察チェックシート
- ロールプレイ台本
- ペン・メモ紙
8. 研修担当者向けポイント
- 評価ではなく「気づき・仮説」を促す
- 正解を求めず、気付きの共有を重視
- 小さな変化に注目させる
- 失敗も学び
- 雰囲気はやわらかく
緊張した場ではノンバーバルは育ちにくい
まとめ
ノンバーバルの基本は“気づこうとする姿勢”。
言葉の外側に流れる「感情の気候」を読む力は、利用者の安心と安全を支える土台になる。
学び続けるほど、世界が“見える”ようになる。
ノンバーバルコミュニケーション研修
講師用進行台本(90分想定)
■開始~導入(0:00〜0:10)
講師
「本日はノンバーバルコミュニケーション研修です。
言葉以外のサインを観察し、利用者理解と安心感のある関わりにつなげることを目的とします。」
「福祉の現場では、言語以外の情報が多く、表情・しぐさ・声のトーンなどから状態を把握することが重要です。」
「今日は、知識を学ぶだけでなく、観察→仮説→対応→振り返りの流れも体験します。」
■基本解説(0:10〜0:25)
講師
「ノンバーバルとは、言葉以外の情報です。」
【板書・スライド例】
- 表情
- 視線
- 姿勢
- 声のトーン・速さ・間
- 動作・リズム
- 距離感
「大切なのは評価ではなく仮説です。」
例:
✗「怒っている」
◎「緊張している可能性がある」「不安かもしれない」
「これにより、偏った判断を防ぎ、丁寧な支援につながります。」
■観察ポイント紹介(0:25〜0:35)
講師
「では具体的な観察ポイントです。」
【読み上げながら板書】
- 表情:口角、眉、頬の緊張
- 視線:向け方・そらし方、瞬き
- 声:高さ、速さ、間(沈黙)、息づかい
- 姿勢:前傾/後傾、手の位置、身体の向き
- 動き:速さ、固さ、繰り返し動作
- 変化:「いつもと違う」
■ミニ観察演習(0:35〜0:45)
講師
「私が今から短い演技をします。
表情と声だけで、どんな状態に見えるか観察してください。」
(例:安心/不安/緊張/怒りなど3パターン)
【講師演技 → 参加者回答】
講師
「どの部分からそう感じましたか?
表情、視線、声など、どのサインを手がかりにしたか共有してください。」
※反応例を拾う:
「眉が寄っていた」「声が少し震えていた」「視線が合わせられていなかった」など
■ロールプレイ(0:45〜1:10)
講師
「次はロールプレイです。2人1組になってください。」
【場面設定】
- 声をかけても反応が薄い利用者
- 落ち着かない様子の利用者
- 笑顔だが声が硬い利用者
手順説明
「観察 → 仮説 → 声かけ → 振り返り」
講師
「それでは1回目、2分ロールプレイ、1分振り返りです。始めます。」
(進行します)
■共有(1:10〜1:25)
講師
「今のロールプレイで気づいた点を共有しましょう。」
質問例:
- 観察したサインは?
- どのような仮説を立てた?
- 声かけや関わりで意識した点は?
- 自分のノンバーバルに気づいた点は?
※適宜フィードバック
「“〇〇かもしれない”という言い方、良かったです。」
「視線の高さを合わせた点、安心につながります。」
■まとめ・次の実践(1:25〜1:30)
講師
「今日学んだことを整理します。」
【要点】
- 言葉以外の情報を見る
- 評価ではなく仮説
- “いつもと違う”に気づく
- 職員のノンバーバルも支援になる
講師
「明日からできる行動目標を一つ決めましょう。」
例:
- 利用者の表情と声の変化を1つメモ
- 朝の挨拶時に姿勢と声のトーンを意識する
- 目線の高さを揃える
「これで研修を終了します。お疲れさまでした。」
付録:講師メモ
- 参加者が正解を求めた場合は「仮説で良い」ことを強調
- 場の空気が固いとノンバーバルの練習は効果が下がる
- 演技は大げさすぎず現場に寄せた表現で







