障害者施設の加算ってなに?わかりやすく簡単に説明

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障害福祉サービスの報酬は 基本報酬各種加算 によって構成されています。加算は、利用者への質の高い支援や体制を整えている事業所に対して上乗せされる報酬のことです。


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障害者施設での主な加算

1. 体制・人員配置に関する加算

  • 人員配置加算:基準よりも多くの職員を配置している場合
  • 看護職員配置加算:医療的ケアが必要な利用者がいる場合に看護師を配置
  • 強度行動障害支援加算:強度行動障害支援者養成研修修了者を配置して支援を行う場合
  • 精神障害者支援体制加算:精神障害者に対応できる体制を整えている場合

2. 個別支援・専門性に関する加算

  • 行動援護体制加算:行動援護に対応できる職員を配置している場合
  • 栄養管理・口腔衛生管理加算:管理栄養士や歯科医師・歯科衛生士等による指導を行った場合
  • 生活支援体制加算:地域生活に向けた個別支援体制がある場合

3. 利用者の活動・就労に関する加算

  • 就労継続支援の生産活動収入に関する加算
    • 一定額以上の工賃を支払えている事業所に付与
  • 就労定着支援連携加算:就労後も事業所が関与して定着を支援する場合
  • 自立生活援助における体制加算

4. 医療連携に関する加算

  • 医療連携体制加算:医療的ケアが必要な利用者に対応できる体制を確保
  • 看取り加算:施設での看取りを行った場合(生活介護・入所施設など)

5. その他

  • 処遇改善加算(Ⅰ~Ⅳ)・特定処遇改善加算
    職員の処遇改善のための加算。障害福祉施設のほとんどで算定。
  • ベースアップ等支援加算(2022年度から導入)
    物価高騰に伴い賃金を底上げするための加算。

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ポイント

  • どの加算を算定できるかは サービス種類(生活介護、就労支援、短期入所など) によって異なる。
  • 体制整備や研修修了者の配置など、条件を満たす必要がある
  • 加算を取得することで報酬は増えるが、その分 運営基準・記録・報告義務 も厳しくなる。

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障害者施設(障害福祉サービス)の サービス種類ごとに算定できる主な加算

障害福祉サービス別 加算一覧(2024年度基準)

1. 生活介護

日中活動の場で、入浴・排泄・食事等の介護や生活支援を行うサービス。

  • 人員配置加算
  • 看護職員配置加算
  • 医療連携体制加算
  • 強度行動障害支援加算
  • 栄養管理・口腔衛生管理加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 地域移行支援体制加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

2. 就労継続支援A型

雇用契約を結んで働く利用者への支援。

  • 生産活動収入に応じた加算(工賃水準による評価)
  • 定着支援連携加算
  • 強度行動障害支援加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 就労選択支援加算
  • 人員配置加算(基準以上の職員配置)
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

3. 就労継続支援B型

雇用契約を結ばず、作業を通じて工賃を得る利用者への支援。

  • 生産活動収入に応じた加算(工賃向上に対する評価)
  • 定着支援連携加算
  • 強度行動障害支援加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 就労選択支援加算
  • 人員配置加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

4. 短期入所(ショートステイ)

一時的に入所して生活支援を受けるサービス。

  • 看護職員配置加算
  • 医療連携体制加算
  • 強度行動障害支援加算
  • 栄養管理・口腔衛生管理加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 夜勤職員配置加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

5. 共同生活援助(グループホーム)

地域での共同生活を支援するサービス。

  • 夜勤職員配置加算
  • 行動援護体制加算
  • 医療連携体制加算
  • 強度行動障害支援加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 看取り加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

6. 入所施設(施設入所支援)

障害者支援施設などで夜間・休日に生活支援を行うサービス。

  • 夜勤職員配置加算
  • 看護職員配置加算
  • 医療連携体制加算
  • 強度行動障害支援加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 栄養管理・口腔衛生管理加算
  • 看取り加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

7. 自立訓練(機能訓練・生活訓練)

生活スキルや社会参加を目指す訓練。

  • 強度行動障害支援加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 移行支援体制加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

8. 就労移行支援

一般就労を目指す訓練。

  • 定着支援連携加算
  • 就労選択支援加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 強度行動障害支援加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

9. 自立生活援助

一人暮らしを始める障害者を支援。

  • 医療連携体制加算
  • 精神障害者支援体制加算
  • 定着支援体制加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算

共通して算定できる加算

  • 処遇改善加算(Ⅰ~Ⅳ)
  • 特定処遇改善加算
  • ベースアップ等支援加算

これはほぼ全てのサービスで必須的に算定される加算です。


就労継続支援B型(以下:B型)で算定できる加算


就労継続支援B型の主な加算(2024年度基準)

1. 生産活動収入に関する加算

利用者の工賃水準を評価する仕組みです。

  • 目標工賃達成指導員配置加算
    • 工賃向上を目的に「目標工賃達成指導員」を配置している事業所
  • 生産活動収入に応じた加算(区分Ⅰ~Ⅲ)
    • 前年度の平均工賃水準が国の定める基準額以上である場合に算定
    • 工賃が高いほど加算も大きい

工賃アップに取り組む事業所を評価する仕組みです。


2. 人員配置・体制に関する加算

  • 人員配置加算
    • 基準より多い職員を配置して支援している場合
  • 専門職員配置加算
    • 就労支援の専門性を持つ職員(職業指導員、生活支援員、ジョブコーチ等)を配置している場合

3. 障害特性に応じた支援加算

  • 強度行動障害支援加算
    • 強度行動障害支援者養成研修修了者を配置し、対象者に適切な支援を行う場合
  • 精神障害者支援体制加算
    • 精神障害者支援の研修を修了した職員を配置し、医療機関などと連携した体制を整えている場合

4. 就労支援・移行支援に関する加算

  • 就労定着支援連携加算
    • 利用者が一般就労に移行した後、定着支援事業所や企業と連携して支援する場合
  • 就労選択支援加算
    • 利用者のニーズや希望に応じて「一般就労」「A型」「B型」など最適な進路を選べるように支援計画を作成・実施した場合

5. 医療・生活面での支援加算

  • 医療連携体制加算(医療的ケアが必要な場合)
  • 栄養管理・口腔衛生管理加算(管理栄養士や歯科衛生士の関与がある場合)

B型では生活面の健康管理も評価されます。


6. 共通的な加算(全サービス共通)

  • 処遇改善加算(Ⅰ~Ⅳ)
    • 職員の給与改善を目的とした加算(多くの事業所でⅠを算定)
  • 特定処遇改善加算
    • ベテラン職員・専門性の高い職員の賃上げを目的とした加算
  • ベースアップ等支援加算
    • 物価高騰に対応した賃金底上げを目的とした加算

ポイントまとめ

  • B型で特に重要なのは 「工賃に関する加算」(工賃水準によって評価される)
  • 職員体制や専門性を評価する 人員配置加算・専門職配置加算 もある
  • 強度行動障害・精神障害者支援体制 は対象者に応じて必須級
  • 処遇改善関係の加算は 全事業所必須レベル

就労継続支援B型で算定できる加算の具体的な金額(単位数)

(※2024年度報酬改定後の内容をベースにしています。地域区分によって金額は1単位=10円前後の変動がありますので「単位数」でお伝えします)


就労継続支援B型:加算の主な単位数一覧

1. 工賃・生産活動収入関連

  • 目標工賃達成指導員配置加算:120単位/日
  • 生産活動収入に応じた加算
    • 区分Ⅰ(基準額の一定以上) … 20単位/日
    • 区分Ⅱ(より高水準) … 40単位/日
    • 区分Ⅲ(さらに高水準) … 60単位/日

工賃水準が高いほど、利用者ごとに日額で加算される仕組み。


2. 人員配置・専門職関連

  • 人員配置加算(Ⅰ):25単位/日
  • 人員配置加算(Ⅱ):50単位/日
  • 専門職員配置加算:50単位/日

3. 障害特性に応じた支援

  • 強度行動障害支援加算(Ⅰ):300単位/日
  • 強度行動障害支援加算(Ⅱ):600単位/日
  • 精神障害者支援体制加算:200単位/月

4. 就労支援・移行支援関連

  • 就労定着支援連携加算:500単位/月
  • 就労選択支援加算:200単位/月

5. 医療・生活支援関連

  • 医療連携体制加算(Ⅰ):80単位/日
  • 医療連携体制加算(Ⅱ):150単位/日
  • 栄養管理体制加算:50単位/月
  • 口腔衛生管理加算:50単位/月

6. 処遇改善関連(全サービス共通)

  • 処遇改善加算(Ⅰ~Ⅳ):所定単位数の5.5~2.0%程度上乗せ
  • 特定処遇改善加算:所定単位数の1.0~2.0%上乗せ
  • ベースアップ等支援加算:所定単位数の1.0%上乗せ

この3つは「総報酬額に対する%加算」という形で算定されます。


具体例(モデルケース)

例えば:

  • 生産活動収入区分Ⅱ(40単位)
  • 人員配置加算(Ⅰ)(25単位)
  • 精神障害者支援体制加算(200単位/月 → 1日換算で約7単位)

➡ 1日あたり 約72単位(=720円前後) の加算が基本報酬にプラスされます。
これにさらに処遇改善・特定処遇改善・ベースアップが上乗せ。


就労継続支援B型の加算一覧


就労継続支援B型:加算一覧(2024年度基準)

区分加算名単位数算定要件(概要)
工賃・収入関連目標工賃達成指導員配置加算120単位/日「目標工賃達成指導員」を配置し、工賃向上に取り組む
生産活動収入加算Ⅰ20単位/日前年度の平均工賃が国の基準①以上
生産活動収入加算Ⅱ40単位/日前年度の平均工賃が国の基準②以上
生産活動収入加算Ⅲ60単位/日前年度の平均工賃が国の基準③以上
人員配置・専門性人員配置加算Ⅰ25単位/日職員数を基準より多く配置
人員配置加算Ⅱ50単位/日より手厚く職員を配置
専門職員配置加算50単位/日ジョブコーチ、職業指導員など専門職を配置
障害特性支援強度行動障害支援加算Ⅰ300単位/日強度行動障害支援者養成研修修了者を配置して支援
強度行動障害支援加算Ⅱ600単位/日さらに手厚い体制で支援
精神障害者支援体制加算200単位/月精神障害者支援研修修了者を配置し、医療連携体制を整備
就労・移行支援就労定着支援連携加算500単位/月一般就労へ移行した利用者の定着を他機関と連携して支援
就労選択支援加算200単位/月利用者の希望に沿って就労選択支援を行い、計画に反映
医療・生活支援医療連携体制加算Ⅰ80単位/日看護職員等を配置し医療連携体制を整備
医療連携体制加算Ⅱ150単位/日より高度な医療連携体制を整備
栄養管理体制加算50単位/月管理栄養士が関与して栄養管理を実施
口腔衛生管理加算50単位/月歯科医師・歯科衛生士が関与して口腔衛生を支援
処遇改善関連(共通)処遇改善加算Ⅰ~Ⅳ所定単位数の5.5~2.0%上乗せ職員の処遇改善に取り組む体制整備
特定処遇改善加算所定単位数の1.0~2.0%上乗せベテラン・専門性の高い職員の処遇改善
ベースアップ等支援加算所定単位数の1.0%上乗せ全職員の賃金底上げを目的に算定

1日40名の事業所で加算を算定した場合の収入シミュレーション

前提(本シミュレーション)

  • 1単位=10円(地域区分で変動)
  • 稼働:月20日、1日40名(延べ800人日/月)
  • %加算は概算:処遇改善5.5%+特定処遇1.5%+ベースアップ1.0%=合計8.0%を小計に乗算
  • 一部加算は実務上「人日/所日/月額」で扱いが異なりますが、ここでは概算モデルとして計算しています(正確な請求は告示・通知に従ってください)

シナリオの内訳(概要)

  • A: ベース
    生産活動収入Ⅱ(40)+人員Ⅰ(25)+目標工賃(120)/人日、月次:精神体制200
  • B: 標準
    生産活動収入Ⅲ(60)+人員Ⅱ(50)+専門職(50)+目標工賃(120)/人日、月次:精神200・栄養50・口腔50
  • C: 手厚い
    Bに加え、強度行動障害Ⅰ(300)を5名/日、医療連携Ⅰ(80)を8名/日に算定

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