記録・報告書の書き方|伝わる文章の基本ポイント

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はじめに:なぜ「伝わる記録・報告書」が大切なのか

福祉・介護の現場では、記録や報告書は「支援の質を守る」ための重要なツールです。
一人ひとりの利用者の状況を正確に共有することで、支援方針の統一や安全なケアにつながります。
しかし、現場では「何を書けばよいかわからない」「伝わる文章にならない」と悩む職員も少なくありません。
ここでは、誰にでも実践できる「伝わる記録・報告書の基本ポイント」を紹介します。


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記録・報告書の基本構成を押さえる

①「事実」と「感想」を分けて書く

支援記録で最も重要なのは「事実の記録」です。
たとえば、「Aさんは朝食を半分残した」と書くのは事実ですが、「食欲がなさそうだった」は感想にあたります。
報告書では、まず事実を正確に書き、必要であればその後に「考察」や「対応方針」を加えると伝わりやすくなります。

②「5W1H」で整理する

記録や報告は「誰が(Who)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」を意識して書くと、内容に抜け漏れがなくなります。
例:

11月8日10時、食堂にて(When/Where)
利用者Bさんが(Who)立ち上がる際にバランスを崩し転倒(What)
直後に職員が介助し、安全確認を実施(How)
今後は歩行時の見守りを強化(Why)

このように整理することで、第三者にも伝わる明確な記録になります。


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読み手を意識した「伝わる文章」にする

① 短く、具体的に書く

「丁寧に」「しっかりと」「いつも通りに」など、あいまいな表現は避けましょう。
文章は短く、1文1情報を意識します。
例:
×「Aさんはしっかりと食事をとった」
〇「Aさんは全量(200g)を自力で完食した」

② 主語と動作を明確にする

「〜した」「〜があった」といった文だけでは、誰が行動したのか分からないことがあります。
「誰が」「何をしたか」を明確に書くことで、情報の正確性が上がります。

③ 敬語・表現を統一する

報告書は組織内の公的文書です。
「〜さん」「〜様」などの表現は職場のルールに合わせて統一しましょう。
また、「~しました」「~です」など、文体もできるだけそろえます。


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状況に応じた書き分けポイント

日常記録の場合

・できごとを時系列で記録
・変化や気づきを明確にする
例:「午前中は居室で塗り絵を実施。集中して30分ほど取り組む姿が見られた。」

事故・ヒヤリハット報告の場合

・事実を客観的に記述
・対応内容と今後の対策を具体的に書く
例:「11月8日14時ごろ、入浴介助中にBさんが足を滑らせ転倒。すぐに介助し、けがはなし。再発防止のためマットを再配置。」


よくあるNG例と改善例

NG表現改善表現
「Aさんは不機嫌だった」「Aさんは声を荒らげ、『嫌だ』と発言した」
「Bさんが暴れた」「Bさんが机を叩き、職員に対して大きな声を出した」
「Cさんが普段と違った」「Cさんは午前中ずっと横になり、声かけにも反応が少なかった」

「見たこと・聞いたこと」をそのまま書くことが、客観的で信頼される記録になります。


記録・報告書を書くときの心得

  1. 「自分のため」ではなく「チームのため」に書く
     → 他の職員が読んでも理解できる内容にする。
  2. 「あとで読んでもわかる」文章にする
     → 時間が経っても状況が再現できる書き方を心がける。
  3. 「修正されない記録」を目指す
     → 文法や敬語の基本も確認しながら、正確な日本語で記録する。

まとめ|記録の質は支援の質に直結する

記録や報告書は、単なる「書類」ではなく、利用者の生活を守る大切な情報資源です。
事実を正確に、わかりやすく書くことで、チーム内の連携が深まり、支援の一貫性が保たれます。
「伝わる記録」を積み重ねることが、信頼される職員への第一歩です。

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