

「次のケース会議、司会をお願いできる?」

おのぴの
「!?」
新人職員にとって、この一言はなかなかの破壊力があります。進行が止まったらどうしよう、意見が割れたらまとめられるだろうか。そうした不安は、とても自然なものです。
結論から言うと、司会は才能ではなく準備で決まります。この記事では、新人が初めてケース会議の司会を担当する際に確認しておきたいチェックリストを、意思決定支援の視点から整理します。
なぜ新人に「司会用チェックリスト」が必要なのか
ケース会議の司会が難しく感じられる理由は、同時に多くのことを求められるからです。
- 時間を管理する
- 発言の偏りに気を配る
- 内容を整理しながら聞く
- 本人視点を忘れずに保つ
これを頭だけで覚えようとすると、確実に混乱します。チェックリストは、司会者の思考を外に出すための補助具です。
司会前に確認するチェックリスト(準備編)
□ 会議の目的とゴールを言葉にできる
- 今回の会議は「決める場」か「整理する場」か
- 何がそろえば終了なのか
冒頭で説明できるレベルまで整理しておきます。
□ ケースの基本情報を把握している
- 対象となる本人の概要
- 議題となる具体的な場面
- これまでの支援経過
細部まで完璧でなくても構いません。全体像をつかんでいることが重要です。
□ 進行アジェンダを用意している
- 各項目の順番
- おおよその時間配分
- 省略できる部分
紙に書いて手元に置くだけで、安心感が大きく変わります。
司会中に意識するチェックリスト(進行編)
□ 最初に目的とゴールを共有した
会議冒頭の一言が、その後の流れを決めます。
- 「今日は〇〇を整理する会議です」
- 「全員一致でなくても、支援の軸をそろえることがゴールです」
□ 発言者が偏っていないか見ている
- 話していない人がいないか
- 同じ人ばかり発言していないか
気づいたときに、
「他の方の視点も聞いてみたいです」
と一言添えるだけで十分です。
□ 評価と事実を分けて整理している
- 「〜だった」という事実
- 「〜だと思う」という判断
混ざってきたら、一度言葉にして整理します。
□ 本人視点に戻す問いかけができている
議論が支援者都合に寄ったときは、
- 「本人はどう感じていそうでしょうか」
- 「本人の選択はどこにありますか」
と軸を戻します。
司会後に確認するチェックリスト(振り返り編)
□ 合意点と未決定事項を整理できた
- 今日決まったこと
- 試してみること
- 次回に持ち越すこと
を簡単にまとめます。
□ 記録・共有方法を確認した
- 支援記録への反映
- 欠席者への共有
- 次回会議への引き継ぎ
ここまでが司会の仕事です。
□ 「できなかった点」を責めすぎていない
初回の司会で完璧にできる人はいません。
- 迷った場面
- 詰まったところ
は、次回の改善材料です。反省よりも整理を意識しましょう。
新人司会者に伝えたい大事なこと
司会は「うまく話す人」ではなく、場を守る人です。
- 全員が安心して発言できる
- 本人の意思が中心に置かれる
- 次の支援につながる
この3点が守られていれば、司会としては十分に役割を果たしています。
チェックリストを味方につけ、少しずつ経験を積み重ねていきましょう。ケース会議の司会は、確実に支援者としての視野を広げてくれます。

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